1.古代の海面(GoogleEarthによる再現)
ウルム氷期末期頃の古代の海面を何とかして再現できないかと考えてたんですが、GoogleEarthを使いMapGrabberでコツコツ画像を集める事で実現できました。
以下の画像は、海抜-120メートルを 基準にして-10mづつ、-70m〜-170mの範囲で色を変えています。所々にスキャンが引っかかったり、変換が上手く行かずにズレた所が有りますが、その辺はご了承ください。
広域画像
東シナ海大陸棚と日本西部
詳細画像
屋久島 対馬海峡
出雲
丹後
能登半島
佐
渡
神津島
鹿島
男鹿 津軽海峡
豊予海峡
←検証2を注目
長江河口流域の検証(-10m〜-60mにもグラデーションを付けました。)
浅い部分
推測される流路
【検証1】 中国大陸と九州北部は地続きに近い。
長江河口と琉球も意外と近い。
琉球弧はかなりの部分が島々に分断されている。
結論
大陸と日本列島の人の行き来は、数千年前よりずっと容易だったはずである。
琉球全域への人の移住は高度な航海技術が必要だろう。
【検証2】 対馬海峡では対馬北西側に深くえぐれた海底が有り、強い海流が原因と考えられる。しかし海底を深くえぐるほど強い海流が有ったのか疑問が発生する。なぜなら対馬南西の海底は浅く海峡の幅も狭い。対馬北西の海底をえぐるためには、南方の海底にも同様に強い海流によりえぐられてなければならないが、それが無い。
四国と九州の間に有る「豊予海峡」にも瀬戸内側と太平洋側に深くえぐれた海底が有る。これも海流が原因と考えられるが、ここでは対馬海峡より更に異常な深さの窪んだ海底「海釜(かいふ)」が形成されている。
その深さは瀬戸内側で深く、現在の海面より最大でなんと水 深465mの部分が有るという。だいたい瀬戸内側が水深400mで太平洋側が300mの海釜になっている。
豊予海峡
水深グラフ
豊予海峡の四国から長く伸びた「佐田岬半島」は、日本列島を貫く断層「中央構造線」によって隆起している。海釜の存在が元々の地形だという説は断層が有る事により否定され、海流の侵食による地形である事が明確である。
しかし「この深さは通常の海流による侵食では不可能」で ある。同様に海流の流れが速い海峡に関門海峡や鳴門海峡などが有るが遙かに浅い海底でしかないからだ。
佐田岬が元々は九州と峰続きであり、氷河期が終り海面が上昇し峰の低い所に達し 「太平洋側から瀬戸内側に海水が滝のように流れ込んだ」とすれば海釜の形成の説明は付くだろう。しかしこれで説明可能なのは瀬戸内側の海釜だけである。太平洋側の海釜の存在は「瀬戸内側から太平洋側へも滝のように海水が流れ込んだ」 事を意味しており、これは単なる海面上昇では起こり得ない現象である。
豊予海峡の海底の地形は、海面が上昇し瀬戸内に大量の海水が流れ込んだ後に 「瀬戸内側の海面が高い状態のまま太平洋側の水位が短時間で大きく下がった」現象が発生した事を意味している。これは関崎と高島の間にも当てはまり、瀬戸内と太平洋側に海底の窪みが存在している。
検証2 結論 豊予海峡の海底の地形は、従来の海面上昇の常識では説明が不可能である。しかし「海面上昇が大規模な津波を伴っていた」とすれば、「太平洋から瀬戸内、そして瀬戸内から太平洋への強い流れが繰り返し発生した」事が予想され、これにより海底地形は容易に説明が付く事になる。瀬戸内側の海釜が深い事もこの津波説と矛盾しない。
よって豊予海峡の海底地形は
「過去に大規模な津波(伝説の大洪水)が発生した証拠である。」
豊予海峡を襲った津波の規模は、現在より海面が120m低い時代であれば、50〜80mぐらいだろうと思われる。対馬海峡の海底地形も巨大津波で説明がつく。
なお今ある世界中の海峡はこの巨大津波によってえぐられ、ウルム氷期以前の古代と地形が変わっている可能性が有る。海峡の深さや幅を元にした歴史上の仮説は再検討が必要になるだろう。
2.NGDCによる古代海面の再現 全地球の標高データを公開しているサイト(
ETOPO1
Global Relief Model)を見つけたので、これを利用し古代の海面を再現してみた。
方法 X11で表示プログラムを作り、古代の海面を-120mとし水色で表した。
結果 世界地図
地域別
ア フリカ・EU
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東 アジア
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ア メリカ大陸
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日 本
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沖 縄・東シナ海
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感想 以前の研究より広範囲に楽に古代の海面を再現する事が出来た。ただ解像度が悪く狭い範囲の再現はGoogleEarthにまったく及ばない。
長江河口付近の大陸棚に直線的な段差が見られ、GoolgeEarthを使った以前の再現とも違いが大きい。データが操作されてる可能性が有り残念である。
考察 古代の海面と現在の大陸棚がかなり一致している。これは古代に津波が有った証拠に繋がる可能性が有る。何故なら海岸付近に砂浜が多いのは、波により陸上の部分が削られ、砂や石が流出し波打ち際に溜るからである。旧約聖書によれば「洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。水は150日の間、地上で勢いを失わなかった」と有る。今の大陸棚は巨大津波による浸食と堆積によって形成された可能性がある。
またこの事は、古代都市の有った場所を正確に推測するためには、現在の海底地形をそのまま参照する事は不適切であり、津波の影響の無い古代の地形を再現しなければならない事も意味する。
まとめ 特に新たな発見は無かったが「大陸棚の津波形成説」に確信に近いものを感じ始めている。また、全地球の標高データが手に入った事で、津波シミュレーションの作成に現実味が出て来た。ただし、今のところ未定である。時間さえ掛ければプログラムは可能だと思うが、プログラムや計算にかなり時間が掛かるので尻込みしている。
2013.1.14追加
2010.11.14、11.25小修正、2011.4.23サムネイル追加と小修正、2013.1.14画像追加
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